【徹底解説】慣らし保育のメリットと、保育士が心がけたい10のポイント!スケジュール・準備・悩み解決も!!
春はスタートの季節。
進学、進級、就職と、世の中も出発ムードに満ちていますね。もちろん、保育園にも新しい園児たちがやってきます。そこで通常、行われるのが「慣らし保育」。初めて親の元を離れる子どもたちのために、そして初めて子どもを預ける親のために、少しずつ、保育士や園での生活に慣れていってもらう期間です。
今回は、この慣らし保育について、そのメリットや、心がけたいポイントを知り、4月からの新しい出会いに備えておきましょう。
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「子どもは保育園に慣れてくれるかな」「保育士さんやほかの子とうまくやっていけるかな」
慣らし保育は、読んで字のごとく、不安でいっぱいの親と、その気配を感じて警戒する子どもに、保育園という新しい環境に慣れていってもらうために行う「通常の保育時間を短縮して行う期間」です。
慣らし保育をするメリット
慣らし保育は、『子ども』『保護者』『保育士』にとっても、とても大切な期間であり、それぞれにねらいがあります。
子どもが新しい環境に慣れる大切な期間
保育園は楽しいところ、というイメージを持たせる
ほとんどの子どもは、保育園に入るまで親と離れて過ごす経験をしてきません。
ずっと一緒に過ごしていた家族と離れ、急に知らない環境で、知らない人たちと集団生活をすることは、子どもたちの心と体に負担がかかります。
保育園が、お迎えだけをひたすら待つ「嫌な場所」という印象がつくとあとが大変です。
慣らし期間があれば、最初は親と一緒に過ごしたり、その後も少し遊べば家に帰れたりと「保育園は楽しい場所」というイメージを持ちやすくなります。
新しい生活リズムにスムーズに入っていける
毎朝登園、保育園での昼食、お昼寝、おやつ、そして帰宅。
園児の一日は、これまでとはまったく違ったリズムで生活することになります。朝から出かけたり、慣れない場所での食事やお昼寝に、心も体も抵抗なく入っていくためには、慣らし保育期間を徐々に進めていくのがベストです。
泣く子も泣かない子も、慣らし期間は大切
親と別れるときに大泣きする子、まったく泣かずにすぐに遊び始める子。子どもはさまざま。
実は泣く子だけでなく、平気な子にも慣らしは大切です。というのも、はじめは園に興味深々で夢中になっていても、珍しさが抜けると急に不安定になり、五月の連休明けごろに大泣きの登園が始まることが少なくないからです。慣らし期間で、段階的に親と離れる経験をすることで、しっかり園生活にシフトできます。
保護者にとっても準備期間
保護者も、それまでずっと一緒にいた子どもと離れることや、保育園に預けることに対して、寂しかったり不安を抱えていたりするものです。
多くの保護者は、仕事を始めるために保育園に子どもを預けます。子どもが保育園に行くことを泣いて嫌がると保護者の方も不安な状態になってしまい、仕事を初めても、仕事に集中できないことも考えられます。
慣らし保育は、保護者にとっても「子どもと離れる心の準備」をする大切な期間です。また、実際に預けることで、入園前の見学しただけではわからなかった、実際の園の雰囲気や保育士の様子を知ることができる機会なんです。
保育士のことを知ってもらう
情報収集と信頼関係を構築する
慣らし保育は、保育士にとっても大切な期間です。
子どもの性格は一人ひとり異なります。よりより保育を行うためには、好きな遊びやその子自身のペースなどを知ることはとても大切です。実際に保育をすることで、子どものことを知っていく事もできますし、誠意のある保育で子どもに寄り添うことで、子どもとの信頼関係を築くことができます。
また、保護者との情報交換を繰り返すことで、子どものことを知ることができるのはもちろん、保護者との信頼関係を構築し、保護者の保育園に預けることへの不安を取り除くことができる大切な期間です。
園のカラーや方針を知ってもらう
保護者は、子どもを預ける園がどんなところなのか、保育士さんはどんな人たちなのか知りたがっています。慣らし期間に園や保育士と密に接してもらい、雰囲気や方針を理解してもらったり、保育士たちの人柄を知ってもらうことで、その後のやりとりがスムーズになり、保育もやりやすくなります。
慣らし保育は、子ども、保護者、保育士の関係をより強固にするために必要な大切な期間です。
慣らし保育の『期間』と『スケジュール』
慣らし保育の期間
慣らし保育の期間は、子どもの状況や園の方針や保護者の考え方によって様々ですが、1週間?1ヶ月程度を目安に行われることが多いです。時によっては、保護者の都合で慣らし保育に数日しか日にちを設けられない場合もあり、保護者の仕事復帰の日程などによって調整されます。また子どもの様子によって日数が伸びる事もあります。
※2020年はコロナウイルスの影響で慣らし保育がきちんとできずに、やり直しを実施したケースもありました。
慣らし保育のスケジュール
慣らし保育のスケジュールは基本的に下記段階で行われます。
①午前中のみの短時間保育
8:30~9:30や8:30~10:30の1、2時間の保育を行います。
1、2時間の保育時間は保育士と一緒に遊んで過ごします。どんな子なのか、好きな遊びや特徴を知る機会です。
また、早朝保育などを頼む場合には、登園時間が早まるケースもあります。
②給食までの保育
8:30~11:30(給食)までの保育を行います。
子どもの食事スピードや好みを知る機会です。
アレルギーを持っている子のことは保育士間で情報共有をして、正しい対応ができるようにします。みんなで一緒にご飯を食べる楽しさや、コミュニケーションをしながら食べることを知ってもらいます。
③お昼寝までの保育
8:30~13:30(お昼寝まで)の保育を行います。
この時間はとても大切な時間で、楽しく遊んでいた子も、お昼寝の時間になると疲れや寂しさから、なかなか寝付けないことが多くあります。一人一人の気持ちに向き合い安心して過ごせるような居場所づくりを心がけましょう。
④午後のおやつまで保育
8:30~15:30(おやつまで)の保育を行います。
子どもの栄養補給として大切なおやつの時間。だらだら食べないようにメリハリを持った時間とします。
⑤終日(契約時間まで)保育
8:30~終日(契約時間まで)の保育を行います。
通常の保育のように保育を行い、慣らし保育の仕上げをします。
このように少しずつ時間を伸ばす事で徐々に慣らしていきます。概ねお昼寝までできれば、一つのハードルを超えたと言えます。
▽慣らし保育の具体例
①午前中のみの短時間保育:5日間
②給食までの保育:3日間
③お昼寝までの保育:2日間
④午後のおやつまで保育:2日間
⑤終日(契約時間まで)保育:3日間
上記例は、計15日間です。
子どもや保護者の事情によって日数はもちろん変わりますが、このような例は一般的です。
慣らし保育前の準備
より効果的な慣らし保育を行うための準備をご紹介します。
保護者の方とのコミュニケーション
慣らし保育は保育園を生活の一部にするための予行練習です。まずは保護者の、保育園に通わせることの寂しさや不安を取り除くのが大切です。保護者のためにも笑顔でコミュニケーションをとり、安心して子どもを預けてもらえるようにします。
保護者の方へ協力のお願い
保育園のリズムに合うように、『生活リズムを整えること』や『スケジュール調整』などをお願いしましょう。また、「友達や先生と出会えて楽しい場所だよ」など、子どもに通園が楽しみになるように、子どもとの会話を大切にしてもらうようにお願いしましょう。
子どもの情報を聞く
できるだけ家庭と同じような状況で保育園に迎え入れるため、家庭での様子やお昼寝の状況など、子どもの情報をヒアリングやアンケートしましょう。
子どもの安心材料を準備をする
保育園という、新しい生活に慣れてもらうためには環境づくりも大切です。
一人で遊べるコーナーや段ボールの家など子どもが安心出来る場所づくりをしましょう。
例えば、高い天井がある場合は布で作った天蓋などをつるすと、狭い落ち着いた空間を作れますよ。そういった落ち着いた場所があると、子どもの居場所となり落ち着く場所となります。
保育士が心がけたい慣らし保育10のポイント
それでは実際に慣らし保育を行う上で、大切なポイントをご紹介します。
①子どもの目線に合わせて
知らない大人に上から見下ろされては、子どもは萎縮するばかり。そばにいるときは、特に目線の高さを合わせるように意識しましょう。朝は「おはよう! 今日も元気だね」と片膝をついて抱きとめてあげると、安心感を与えます。
②子どもの気持ちをしっかり受け止める
楽しいときには一緒に大笑いしてくれる、不安なときは慰めたり勇気づけたりしてくれる、悔しいときは「悔しいね」と共感してくれる・・・そんな保育士の周りには、自然と子どもたちが集まってきます。気持ちをまるごと受け止める大らかで温かい雰囲気は、子どもの心を開く大切な要素です。
③ほめる
「がんばったね」「えらかったね」「すごい」「素敵」・・・子どもはほめられることで「この人は自分を認めてくれている」と感じ、警戒心を解きます。とくに慣らし期間は、ふだんは当たり前のことでも難しくなりがち。子どもの様子をしっかり観察し、ちょっとしたことでもほめてあげましょう。
④スキンシップはとても大切
子どもとの心の距離をぐっと縮めるのがスキンシップ。がんばったときにはハイタッチ、失敗したときには肩を抱く、なかなかうまくいかないときはそっと手を添えるなど、触れ合うことで気持ちが伝わり、子どもからの信頼も強くなります。
⑤子どもと一緒に大いに遊ぶ
園内の様子がよくわからず戸惑っている子どもを一人にしないで、できるだけ一緒に遊びましょう。天気のいい日は園庭で。室内では固くなっていた子どもも、外に出るとイキイキと動き始めるもの。子どもの心の壁を取り払うには、一緒に楽しむのが一番です。
⑥保護者とのコミュニケーションをしっかり・協力する
慣らし保育の期間は、保護者との協力が大切です。先ほどもご紹介しましたが、初登園の前に、保護者から子どもについての情報を仕入れておきましょう。好きな遊び、歌、テレビ番組、食べ物の好みや眠るときの癖など、知っていると保育がスムーズになります。逆に慣らし保育が始まったら、園での様子はノートなどでできるだけきめ細かく、保護者に報告しましよう。きちんと見てくれている、という信頼感につながり、安心してまかせてくれるようになります。
⑦ネガティブな発言はしない
保育に不安を抱えて居る、保護者の方も多いので、コミュニケーションをしっかりとった上で、保育士同士でしっかり協力体制を作りましょう。また、保護者への声がけにはネガティブな発言は絶対にしないようにしましょう。慣らし保育は、保護者はかなり不安で緊張しているものです。保育士の発言によっては、不信感を抱かれてしまうこともあります。常にポジティブな発言をするように心がけましょう。
⑧子どものペースに合わせる
園になかなか慣れずに、慣らし保育のスケジュール通りに進まない子もいます。しかし、スケジュールに合わせようと、子どもに無理をさせるのは厳禁です。その子のペースを大切に、子どもに無理をさせないスケジュールで進めましょう。
⑨在園児のケアも忘れないように
慣らし保育中は、新入園児のことで手がいっぱいになってしまい、在園児の対応がおろそかになってしまうこともよくあることです。在園児の対応をする職員を決めることや、在園児と混合保育する時間を作るなど、そういった体制をしっかり考え、整えておきましょう。
⑩園に親近感を持ってもらう・興味をひく
子どもは新しい環境に緊張しているので、園に親近感を持ってもらうことはとても大切なことです。子どもの興味をひくようなおもちゃを見つけ、「保育園」という場所で好きなものを見つけてもらいましょう。「好きなもの」は安心出来るものでもあります。場所だけでなく、おもちゃなどでも居場所を作ってあげましょう。
慣らし保育中の「こんな時はこうしよう」
慣らし保育の中で、子どもたちはいろいろな様子になり、保育士は困ってしまうこともあります。
そんな時の対処法をご紹介します。
泣いてしまう・ずっと泣いている
朝の登園時に子どもが大泣きして、保護者となかなか離れらないこれはよくある話です。
泣いている自分の子を見ると、なかなか園を離れられない保護者も多いです。こんな時には、保護者のためにも、子どものためにも、しっかりとお別れの言葉をかけて、お別れする習慣を付けましょう。ハグやハイタッチや魔法のおまじないなど、お別れをする際の儀式を決めてもらい、子どもたちが気持ちを切り替えるタイミングを作ってあげましょう。
また、ずっと泣いている子どもは、「知らない場所で怖い」「保護者がいなくて不安」で泣いています。やり場のない、どうしようもない気持ちをしっかり受け止めてあげましょう。「泣いてもいいんだよ」と優しい声をかけるとともに、子どもの気持ちに寄り添うようにしましょう。不安や恐怖を受け止めてくれる保育士のことを好きになり、保育園を好きになってくれますよ。
また、単純に体調不良や「おむつが不快」で泣いていることもあります。そういった身の回りのことなども注意深く観察しましょう。
給食やおやつを食べてくれない
慣らし保育期間中は、子どもはかなり緊張しており、保育園にいるだけで精神的にギリギリな状態の子も多いです。そのため食欲もなく、給食に興味を持ってくれないこともあります。無理に食べさせようとしないようにしましょう。無理に食べさせようとすると、食事がトラウマになってしまう可能性もあります。
給食をあまり食べられなかったり、完食しなくても、一口でも食べたことや、食器を持ったことを褒めてあげましょう。また、保護者の方にお願いして普段使っているスプーンなどを用意してもらい、日常生活に近い状況で食事できるように工夫することも一つの手です。
また、慣らし保育期間はあまり食べないかもしれないということを保護者の方に予め伝えておき、足りない分は家庭で補給して貰うようにお願いしましょう。
お昼寝してくれない
慣れない環境で緊張している子は、なかなか眠れなかったりします。事前のヒアリングで、子どもの寝かしつけについてしっかり情報を入手した上で、子どもの入眠の仕方について対応できるようにしておきましょう。寝る時に使用するブランケットや、一緒に寝ているぬいぐるみがあるのであれば、一時的に園に持ってきてもらっても良いですね。まずは寝ることを目的とせずに、みんなと一緒に横なることを目的として、子どものペースで徐々にお昼寝ができるようにしてみましょう。
保護者のフォローがとても大切
先述している通り、慣らし保育期間は保護者との関係がとても大切です。保護者と保育士の関係を築くための大切な期間です。最後に、保護者との関係を築くためのポイントをご紹介します。
情報を伝えるときは+アルファを加える
保護者の方が迎えにきた時などに、「今日はずっと泣いてばかりでした」と伝えるだけでは、保護者はこれからの保育園生活に不安を抱えてしまいます。慣らし保育は、保護者の不安を取り除き、保育園に通わせることに慣れてもらう期間でもあります。不安を与えるのは厳禁です、子どもの情報を伝えるときは、「泣いていましたけど、それは保護者との絆がしっかりできている証拠です。」「泣いてしまうのは、誰もが通る道なので安心してくださいね」など、保護者を思いやる言葉を付け加えるようにしましょう。また、「〇〇ができた」など、喜ばしいことも日々伝えるようにしましょう。
スケジュールの変更は丁寧に説明しましょう
「もう少し余裕を持つ必要があるから、保育日数を増やしたい」という時があります。保護者に、なぜそのスケジュールを増やしたほうがいいのか、理由は丁寧に説明するようにしましょう。丁寧に理由を伝えない場合、「保育園に馴染めていない?」「保育士さんに迷惑をかけている?」など、保護者は心配になってしまいます。子どもが安心して保育園で生活できるように、という目的をきちんと伝え、保護者に丁寧に説明するようにしましょう。
慣らし保育期間は、子どもと保護者にとって、とても緊張する期間です。
保育のプロとして、「保育園は安心して過ごせる場所」ということをしっかりと伝えましょう。コミュニケーションをとることを欠かさず、子どもと保護者の不安を受け止め、寄り添うことを忘れないようにしましょう。子どもが笑顔で保育園に通えるように、保育士としてリードすることを心がけましょう。
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