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「食べる楽しみ」を諦めない。個性に合わせた食事介助のコツ

最終更新日:2021.02.26

毎日の食事は利用者の方々にとって、もっとも大きな楽しみ。
高齢になっても、食べられるものが変わっても、みんなで囲む食卓は心弾むものです。
食事介助は、この楽しい時間をサポートする介護スタッフの、大切な役割。
でも、ときにはなかなか思うように食が進まなくて自信を失うこともありますよね・・

「朝も昼も半分も食べてくれなかった」
「スプーンを近づけても口を開けてくれない」
「私のやり方がいけないのかしら・・・」

実は自分以外の人に食べさせるというのは意外と難しいもの。
とくに咀嚼や飲み込みの力が弱っている高齢者の場合、ペースをつかむのがなかなか大変です。
そこで今回は、まず高齢者の食生活の特徴を知り、そのうえでどのように介助していけばうまくいくのかを、ご一緒に見ていきましょう。

高齢者の食生活にはこんな変化が

①むせやすい

飲み込む力が落ちるため、食べ物がのどにつかえ、むせることが多くなります。

②固いものが苦手

咀嚼力が以前の1/3~1/4になるといわれ、固い食べ物が食べにくくなります。
また、歯が弱くなったり、入れ歯も噛む力を低下させます。

③乾燥した食べ物が食べにくくなる

唾液の分泌が減るので、パンなどパサパサしたものが飲み込みづらくなります。

④食欲がわかなくなる

活動量の低下や、視力や聴力が落ちることによって、食欲も減退してきます。

⑤濃い味付けが好きになる

味覚が衰え、塩味や甘味を感じにくくなるため、濃い味を好みます。

⑥胃もたれ、便秘になりやすい

胃粘液の分泌が減ったり、腸の運動能力が低下し、消化機能が衰えるためです。

若い人とはいろいろな点で変わってきているのがわかりますね。
それではいよいよ、食事介助のコツをあげていきます。
まず介助は、常に同じ目線の高さで行うことをおぼえておきましょう。

食べやすい姿勢と座り方

①テーブルと椅子(車椅子)の場合

・少し前屈みになるくらいが、飲み込みやすい
・足は床にぴったりと
・膝が90度に曲がるくらいの椅子の高さ
・腕を乗せたとき、肘が90度に曲がるくらいのテーブルの高さ

②リクライニング車椅子の場合

・リクライニングは45度~60度くらい
・頭の後ろにクッションを当てる
・膝は90度、足はステップにぴったり付ける

③ベッドの場合

・背もたれは45度~60度
・首が安定するよう、後頭部にクッション
・腰はベッドの曲がり部分にきっちり沿う
・膝は軽く曲げ、ひざ下にクッションを

食べさせ方と飲み込ませ方

介助はあくまでも手助けが基本です。できるところは本人にしてもらうよう心がけてください。

①座る位置は横に、目線は同じ高さで

正面からの介助はNG。また、立ったまま食事介助をすると、食べるときに見上げる形になり、むせたり誤嚥しやすくなります。

②一口の量はスプーン一杯分

一度に口に入れるのは、ティースプーン軽く一杯が適量です。

③スプーンは下から近づける

食べ物が下から出されると、顔も自然に下向きになるので、飲み込みやすく、誤嚥防止になります。

④飲み込んだのを確認してから次を

飲み込む前に口に入れると、誤嚥の危険が。

⑤スプーンは奥まで入れない

スプーンが入ってきた刺激で、吐き気を誘発することがあります。

⑥食べることに集中させて

口の中に食べ物があるときにテレビに気を取られたり、話しかけられると誤嚥する危険あり。

利用者がゆったりとした気持ちで味わえるよう、介護者も一緒に食事を楽しむ気持ちで介助にあたれれば理想的ですね。

認知症予防にも効果的な食事介助

食べることは栄養補給だけでなく、視覚・嗅覚・味覚などを刺激し、脳を活性化させます。
また、みんなで楽しく食事をすることで精神的にも満たされ、認知症の予防や進行を抑える効果も。
食事介助の際のちょっとした心がけで、その効用をさらに高めることができます。

自分でできることを少しずつ増やして

手は突出した脳といわれます。指先を使うことで、脳細胞の働きが活発になり、認知症が改善することもあるほど。食事時は、手指を動かす絶好のチャンスです。
たとえば最初は介護スタッフが食べさせて、次に一口だけ自分でスプーンを持って口にいれてもらう、その回数を次第に増やし、一皿を自分で食べられるようにする。
いやがるときは無理をせず、気長にゆっくりでいいのです。少しずつ自分で食べる時間を増やすことで、食べることへの興味や意欲もよみがえり、食事を楽しむ姿を見せてくれるようになるでしょう。

「美味しい」という感覚を大切に

認知症がすすむと、食べたいという意欲が低下することも。そこで、常に「美味しい」と意識できるよう働きかけることが大切になります。
「さあ美味しい朝ごはんをいただきましょう」「今日は旬の○○が美味しそうですね」
などと期待をふくらませ、食事中も「美味しいですね!」と声をかけてみましょう。
それを繰り返し、食べる=美味しい=幸せ、と脳にインプットされれば、食欲増進にもつながります。

楽しい食事で自信と生きる希望を

少しずつ自分で食べられるようになったり、一皿をきれいに完食できたり。
そしてそこに「美味しい」というプラスの気持ちが働けば、本人にも生きる自信や希望がわき上がってくるのではないでしょうか。
ときにはあまり食べてくれないこともあるかもしれません。けれど、私たちですら食欲の波はあるもの。高齢者ならなおさらです。
そんなときは好きなものやのど越しの良いものを提供し、大きく構えていきましょう。
食事は楽しく。それが食事介助の基本です。

高齢になっても、食事が楽しみ、食べ物が美味しい、と感じている方々は、日々の暮らしも生き生きと充実しているもの。
食事のサポートは、人生そのもののサポートといっても過言ではありません。
ぜひ正しいやり方と温かい心で、利用者の皆様と楽しい食卓を囲んでくださいね。

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