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音楽の力はすごい!「音楽療法」を知って、認知症の改善にいかそう。

最終更新日:2021.03.29

2014年に話題となった映画「パーソナルソング」。
1曲の歌をきっかけに、まるで生まれ変わったように生き生きとした姿に変わっていく…
そんな認知症患者たちの姿を追ったドキュメンタリー映画です。この映画の題材となっているのは、障害者福祉や高齢者福祉の現場でも用いられる「音楽療法」という心理的なアプローチ方法。特に、認知症患者の心身状態回復への効果が期待されているようです。
介護施設でも気軽に行えるレクリエーションの1つして人気の高いカラオケや楽器演奏。
これらも、ある程度音楽療法についての知識を持っていれば、お楽しみの域を出たより有意義な時間に変えることができます。
この記事では、介護施設のレクリエーションに音楽療法的な要素を組み込む際の、ポイントをご紹介します。

「音楽療法」と「音楽レクリエーション」の違い

音楽療法とは

音楽療法とは「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、 心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」
(『東京音楽療法協会』) http://www.jmta.jp/about/outline.htmlより)。 とされています。
音楽を聴くと自然とリラックスできたり、活力が湧いてきたり、体が自然と動いたり、また昔聞いていた音楽を聴くと、その頃の記憶が自然に蘇ってきたりなど、音楽を聴く事で誰もが経験したことのある音楽の効果を利用する療法です。音楽療法は、精神にも身体にも良い影響を与える事がわかっています。
また、BPSD*に対しても効果があり、認知症の方が音楽を通じて「自分らしく、生き生きと楽しく、笑顔で生活」することを目指すことができます。
大勢の利用者の方に「その場を楽しんでもらうことを目的」としたレクリエーションとは少し違い、音楽による精神や身体への良い影響を目的としています。

※BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは…認知症の行動・心理症状:暴力、暴言、徘徊、うつ、妄想 のこと

万能なリハビリテーション

音楽の持つ特性を理解し、リハビリテーションとして利用するには、対象者の状態やニーズを的確に捉えて、目的にあった必要な働きかけを行えることや、その技術を身につけておくことが必要です。ですが、特殊な音楽を扱うわけではないので、どんな場所でもどんな状況でも行える万能なリハビリテーションだと言えます。
専門性の高い音楽療法とはいえないかもしれませんが、『なんとなく音楽を聞く』だけでも効果は期待できるのです。

音楽療法の歴史

音楽療法の起源は第一次世界大戦時に傷病兵に対してアメリカで行われたものと言われています。その後に、広く音楽療法が導入され、音楽療法の地位が確立されました。
日本では、音楽療法学会認定の音楽療法士が活躍していますが、その数はまだ少ないのが現状です。今後のますますの発展が期待できる領域です。

音楽療法の効果

ストレス軽減やリラックス効果

認知症によって引き起こされる不安や緊張などを、音楽療法によって落ち着かせるリラクゼーション効果が期待されます。
多くの場合、妄想や攻撃的な言動などは緊張や不安などから起きている場合が多く、音楽療法によってそれらを軽減できます。

脳機能の活性化

音楽を通して、体でリズムを取ったり、声を出して歌ったり、歌詞を思い出したりなど
脳の様々な部位を働かせるので、とても良い刺激になり、脳が活性化されます。
脳を活性化することで、気持ちを明るくしたり精神を安定させたりなど、精神面でも良い効果が期待できます。

自己肯定感の向上

認知症特有の記憶障害で、すぐに忘れてしまったり、分からなくなってしまったりする事が多くなっている中でも、昔覚えた歌や、曲は覚えているものです。
忘れていないものがあるというのは、自分自身への自信や自己肯定感につながります。
童謡などの子供の頃から慣れ親しんだ歌を思い出す事で自信が蘇り、気持ちが安定するようになります。

「回想法 」として利用できる

昔親しんだ音楽から、その頃の思い出を蘇らせることもあります。
働いていた頃に流行った曲や、子供と一緒に歌った曲など、イキイキと活動していた頃の自分の姿や活力を蘇らせてくれるかもしれません。若いことの楽しい思い出を回想することで気持ちの安定や脳の活性化も期待できます。

自分の表現をできるようになる

認知症によって言葉が不自由になり、なかなか自身の表現が難しくなり、行き場のないストレスが溜まることもあります。
大きな声を出したり、楽器で大きな音を鳴らしたり、手を叩くことで、言葉では表現できないものを発散する事ができます。心身の障害があって発語やコミュニケーションが難しい方でも、音楽を通じてコミュニケーションを取りやすくなります。

その他

その他にも、睡眠障害の改善やがん治療の副作用の軽減、リウマチなどの痛みを緩和するなどの効果もあります。

音楽療法のやり方とは

音楽療法には、シンプルに音楽を聴く「受動的音楽療法」と、歌・楽器を演奏したりなどの「能動的音楽療法」があります。
音楽CDやビデオを観賞したり、曲を懐かしく思いながら合唱をしたり、カラオケで思い出の歌を歌ったりなど、取り入れ方は様々です。集団での参加が難しい方には、一対一で個人セッションを行うことや、発生や発語を促すプログラムもあります。
利用者の好みや年齢に合わせた曲を選び、認知症の進行具合やその場に適した歌や踊りのプログラムを行い、「どんな効果が得られたか」を、今後の課題へつなげていく継続的なモニタリングが行われます。

取り入れやすいプログラム

カラオケや合唱など歌を歌う

カラオケや合唱など、歌う時は声を出すためにしっかりと呼吸をし、大きな声も出します。
なかなか普段大きな声を出さない方にはストレスの発散にもつながりますし、口を大きく開けるので自然と表情も豊かになり、脳の活性化も期待できます

集団演奏(合唱や合奏)

ハンドベルや打楽器など比較的簡単に音が出る楽器を合奏するなどで、音楽を楽しみながらも集団での音を使ったコミュニケーションを行います。また、タイミングなども合わせなくてはいけないので、適度な緊張感で音楽を楽しむ事ができます

プログラムの進め方の一例

音楽療法を行う上で気をつけたいポイント

音楽療法は専門的でなくても、簡単に取り入れる事ができます。
簡単に取り入れられる音楽療法だからこそ、気をつけたおきたいポイントもあります。

聴力の確認

高齢になるにつれて、大きな音量でないと聞き取りにくい、高い音が聞き取りづらくなるなど、音を聞き取る力が衰えてきます
音がうまく聞き取れていないことで、昔楽しめた曲が楽しめなくなっていることもあります。事前にどれくらい聴こえているかなどを確認しておきましょう。

疲れやすさを気にする

認知症の症状として、疲れやすかったり集中力や注意力が保てなかったりします。
どんなに楽しいプログラムでも、長時間集中することは疲れてしまい、ストレスにもつながります。インターバルを挟むなど、工夫が必要です。

「個人レベル」を意識する

利用者の歴史は様々で、様々な経験をされています。
また、それぞれの身体機能や認知症状のレベル、そして性格もさまざまですから、一律に「皆さんでこれをやりましょう」で済ませないようにします。「怒りっぽいAさんには大好きなカラオケでストレスを発散してもらおう」「Bさんは最近調子が良いから、得意のピアノで伴奏してもらおう」など、普段の様子を知るスタッフだからこそ思いつくアイデアもあるはずです。一度にすべてを詰め込むのは無理でも、こういった個人を意識したものを少しずつ取り入れていきましょう。

スタッフも利用者も一緒に楽しむ

音楽は、一緒に楽しむ人がいればより楽しくなるものです。
周りと一緒に歌ったり、聴いたり、演奏したりなどを集団で行うと楽しくプログラムに取り組む事ができます。また、合唱や合奏中に少し間違えても、周りが励ましてあげる環境にする事で、安心感を持って楽しくプログラムに取り組む事ができます。利用者だけでなくスタッフも一緒に楽しみましょう。

敬意をもって接する・常に目を配る

利用者は人生の大先輩です。敬意を持って接するのは基本的なマナーです。
また、プログラム中は楽しんでいるか、どんな動きをしているか、表現をしているかに気をつけて目を配りましょう。常に利用者が楽しんでいるかどうか、気にするようにします。また、レクリエーション中だけでなく、終わった後の利用者の様子も注意深く観察するようにすれば、次回以降の課題設定に役立ちます。

知らない音楽でも参加できるように

音楽を鑑賞する、メロディに合わせて歌うだけでも、脳へ刺激が与えられ、認知症予防や改善効果につながります。そして、それをさらに効果的にするのが、同時に体を動かすということです。歌いながらカスタネットやタンバリンなどの簡単な楽器を演奏してもらう
「参加型」要素を取り入れてみましょう。これなら歌をよく知らない方や歌うのを恥ずかしがる方でも、気負わず参加しやすいかもしれません。

新型コロナウイルス対策はどうする?

音楽療法は、利用者が心身ともに『健康』を維持するために用いるものです。だからこそ、コロナウイルス対策や工夫をしっかりしなければなりません。
例えば、『歌うプログラム』を減らして、利用者からのリクエストを募る『観賞プログラム』だけの日を設けると、普段聞けない曲を聴くことができて、盛り上がることもあるでしょう。
また、『歌うプログラム』を行う場合は、マスク着用で歌ってもらうなどをしてもらいましょう。ただ、マスクをしていると呼吸が普段よりもしづらくなってしまうので、注意が必要です。また、マイクを使うカラオケなどを行う場合は、ウイルス対策用のマイクカバーがあるので、1回1回カバーを変えるなどの工夫をしましょう。
『日本音楽療法学会』のHPには、コロナウイルス対策の情報も発信されているので、CHECKしてみてください。(http://www.jmta.jp/covid19/)

音楽は身近な存在だからこそ、専門的に学んでいなくても、取り入れやすい「音楽療法」。
ちょっとしたポイントで、より効果的なアプローチができます。
今回ご紹介したポイントをおさえ、利用者・スタッフがともに楽しく過ごせるような「ユニークなプログラム」を実践してみましょう。
「音楽を楽しむ」ことを忘れないように、音楽療法で楽しく有意義な時間を過ごしてくださいね。

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