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介護業界におけるICT化・DXとは|ICT化・DXが求められる理由、背景・導入課題とは

最終更新日:2022.12.23
介護業界におけるICT化・DXとは|ICT化・DXが求められる理由、背景・導入課題とは

近年のICT技術の急速な進化しており、あらゆる業界でICTが取り入れられています。『ICT化』『DX(化)』などという単語も頻繁に世間で飛び交っており、介護業界でもICT化やDX(化)の波が押し寄せています。
この記事では、介護業界におけるICT化・DX化について、また、ICT化・DX(化)が求められる背景についてご紹介します。

また、こちらの記事で『介護業界のICT・DX推進』について様々な観点でまとめていますので、併せてご確認ください。

▷介護のICT化・DXについて【まとめ】|背景とは?求められる理由、活用例、支援、導入率など『まるごとご紹介』


ICT・DXとは

ICTとは「Information and Communication Technology」の略称で、「情報通信技術」と訳されます。
またDXとは「Digital Transformation」の略称で、直訳すると「デジタルによる変容・変換」です。


ICT・DXついての説明はこちらでご紹介していますのでご覧くださいね。
ICT化・DXとは?【用語説明】|DXを推進させるためのステップとは?介護業界のICTについても

ICT・DXとは

介護業界にICT化・DXが求められる背景

介護業界・現場にICT化が求められる背景をご紹介します。

急速な高齢化

介護現場にICT化が求められている(また、急がれている理由)として、『日本の急速な高齢化』があげられます。
WHOの定義では65歳以上の人のことを「高齢者」としており、人口の割合の内、高齢者が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と定義されています。
世界的に高齢化が進んでいますが、日本は2007年に「超高齢社会」となっており、今後も高齢者の割合は今後も増加傾向にあり、2025年には30%、2065年には38.4%という予測が立てられています。
2020年時点でも高齢者一人を現役世代二人で支えている状況だと言われていますが、2065年では高齢者一人を1.3人で支える時代になると予想されており、どのように高齢化社会を乗り越えるのかが喫緊の課題となっています。
また、少子高齢化によって人口も減少傾向にあり、『2025年問題』なども指摘されているとおり、これから介護が必要な高齢者は増加しますが、介護を行う人材は「減っていくため」介護人材が不足します。
実際に厚労省の予測では、2019年を介護職員の必要数を基準とし、2025年には約32万人、2040年には約69万人を増加した人数が必要になると予測されています。
※参照『厚生労働省の発表資料:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について』
※参照『令和3年版高齢社会白書』
◎2025年問題
2025年問題とは、「団塊の世代」(第1次ベビーブームの時期に生まれた世代:1947-1949年)が75歳以上の後期高齢者となる2025年に訪れる様々な影響のことです。

介護業界が抱える課題

介護業界は『慢性的な人材不足』です。
介護職員の『業務の多さ』が心身の負担にとなり、離職理由の主な原因の一つです。
『定着率の低さ』や『多忙によるサービスの質の低下』が問題視されており、業務負担軽減や効率化、人材不足の改善を介護業界全体に求められています。
また、介護事業所はサービスの種類も多く「複雑」です。経営効率の悪さや、情報の不透明性も問題視されています。
多くの介護事業所の運営主体の殆どは中小企業であるため、人材採用や育成する機能が弱いことや、属人的業務・アナログ業務の多さによるオペレーションの課題の解決も求められています

2025年の崖

「2025年の崖」とは、2018年に経産省が公開したDXのレポートのタイトルとして注目を集めた言葉です。
《多くの企業で使われている既存のITシステムが、事業部門ごとに構築されて、複雑化・ブラックボックス化しており、今後の時代に合わせたビジネスモデルにうまく活用できず、企業の競争力を低下させ、経済損失をもたらす》という問題です。
介護業界も例外ではなく、DXを進めないと2025年の崖に直面し、運営が続けられなくなる恐れがあります。

コロナウイルスによる影響

介護事業所は従来の感染予防対策では、新型コロナウイルス感染を完全に防ぐことは難しく、介護事業所内でのクラスターも発生しました。また、事業所間や多職種間の十分な連携を図ることも難しくなり、非接触の連携を可能にする打開策としてICT活用が必要とされています。

これらの社会や介護業界の課題を解決すべく、ICT化・DX(化)が求められています。

介護業界のICT化・DXで見込まれる効果

業務効率化

介護業務のICT化で見込まれる効果として『業務効率化』が挙げられます。
【事務作業】
介護業務におけるスタッフ間での情報の引き継ぎ・共有は重要です。
ですが、日報や申し送り書類などは、手書きで記録するには時間がかかりすぎ、細かいニュアンスも伝わりにくいです。
また、口頭での情報共有は、伝え忘れや引き継ぐ側の聞き逃し等で十分に申し送りができない可能性があります。
タブレットや携帯端末を活用などのICTを導入することで、『記録時間の短縮』や『データの一元化』をすることができるので、『事務業務を軽くすること』『伝達漏れをなくす・スムーズな業務引き継ぎ』なども行えます。

介護業界のICT化・DXで見込まれる効果


【その他】
居室やご利用者にセンサーを設置(装着)することで利用者のベッド在否・徘徊していないかの確認、排泄タイミングをお知らせするなど、『職員の巡回業務を減らすこと』などスタッフの負担を軽減、介護サービスそのものの効率化を図ることができます。

スムーズな情報共有・連携

介護業務上、施設と病院が情報の共有をすることが多いです。
紙媒体などでデータを管理している場合、情報共有するまでに「コピーしたものを郵送・FAXする」などの雑務が発生してしまいます。
ICT化を進めることで、利用者の情報を施設内スタッフだけでなく、関係機関でも情報を『時間差なしに確認・共有する』ことができ、関係機関との連携もスムーズに行えるようになります。

データ活用による介護の質が向上

ICT化を進め、『データ活用』をすることで介護サービスの質を向上させることができます。
ICTを導入することで、日々データで管理するため多くのデータが蓄積されます。
データの多くは数値として可視化することができるため、ベテランの介護スタッフの属人的な知をデータ化し、分析・活用することで介護サービスの向上を目指すことができます。人材育成にも有効的に活用できます。
また、施設内外のデータを組み合わせることで、新たなサービスや業務効率化(DX)などの可能性も広がります。

介護業界のICT活用DXに期待が高まる

ICTを活用することで、業務効率を上げ負担軽減・人材不足(人材定着)改善また、介護の質を向上させる事など、介護業界の課題解決・抜本的な改革にICT化・DXが『大きな期待』を寄せられており、介護業界としても今後避けては通れない問題です。

こちらの記事で、ICTの活用例やICT導入に失敗しないためにはどのようにすべきかをまとめていますので、併せてご覧ください。

▷介護のICT化のおはなし|ICT活用例、ICT化・DXに失敗しないためには

導入課題

介護業界のICT導入率は増加傾向にありますが、まだまだ十分だと言えない状況です。介護事業所へのICT導入ついての課題をご紹介します。

ICT・デジタル機器に強い人材が必要となる

介護現場で働くスタッフの平均年齢は高いことが多いです。
そのため、デジタル機器の扱いに慣れている人やICT事情に明るい方は少ない傾向にあり、ICT導入が進みにくいという課題があります。
ICT導入には、インターネット環境の整備、パソコンやタブレットの導入、セキュリティ対策などの事前の準備等も必要なため、業務の効率を図りつつ、使いやすい(高齢のスタッフが使える)ICT導入を進めるためには、『ICTについて明るい』もしくは『デジタル機器に抵抗のない』人材が必要です。

ICTに慣れるまでに時間がかかる(退職リスクもある)

ICT化による業務効率化と、スタッフ心理のバランスを取るのが難しいという課題があります。
ICT導入をした後には、どんなスタッフでも『デジタル機器になれるまでの時間』が必要です。先述の通り、介護現場で働くスタッフの年齢層は高いため、ICTを導入した後に、デジタル機器についていけないと感じるスタッフは退職を考えることもあります。
ICTの導入の目的や、どのような効果・メリットが有るかなどを明確にし、『スタッフが共通認識しておくこと』『モチベーションを保つこと』が大切です。

CTに慣れるまでに時間がかかる(退職リスクもある)

コストがかかる

大きな課題として挙げられるのは『ICT導入のコスト』です。
デジタル機器を導入し、運用していくためにはコストがかかってしまいます。
ICT支援の補助金などはありますが、「インターネット環境を整える」「パソコンやタブレットの端末を購入する」など、コストは膨大となるので安易に導入を決定できないという課題があります。また、導入したからと言って、「スタッフが機器を活用できるのか」「導入コストに見合った効果が得られるか」などの問題を抱えています。

導入後の不安(データ管理や情報漏えいの恐れ)

介護記録の電子化や、センサーやカメラでの見守りなどはプライバシーの配慮も求められますし、個人のセンシティブ情報を扱うため、そのデータ管理やセキュリティ管理などはすごく大変です。また、ICT導入後の運用や、ケアプラン・業務フローの変更などを組み直す手間の煩わしさや、そもそもICT導入後のケアプランや業務フローをどのように考えればいいかわからないという事業所もあり、『導入後の不安』が二の足を踏ませてしまうことがあります。

保守的な考え

「変革」にはエネルギーが伴うため、経営陣が「変革」や「DX」についての保守的に考えている事業所は、ICT・DXがなかなか進みにくいことがあります。

国によるICT化・DXの支援制度

国も介護業界のICT化・DXの促進を行っており、『ICT導入支援事業』や『IT導入補助金』などの支援制度もあります。

詳しくはこちらでまとめていますので、併せてご覧ください。

▷介護のICT化・DX支援制度|補助金・支援金、ICT導入率について

まとめ

ICT活用や介護DXは、今後の介護業界また、社会を救う救世主となりえます。
ただし、介護は人と人との『コミュニケーション』や『つながり』なども依然として重要です。より良い介護、より安全な介護のためのICT化・DXを推進していく必要があります。



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