どのIT(ICT)資格を取得したらいい?なりたい職種別おすすめ資格
IT(ICT)関係の資格をとりたいけど、どんな資格が自分に合っているの?仕事に直結する資格は有るの?といったことが気になる方も多いのでは。
すでにIT関係の仕事に就いている方向け、これからIT関係の仕事を目指す方向けに、おすすめの資格をご紹介します。あわせて、今ニーズの高まっている仕事である「ICT支援員」の仕事に直結しやすい資格についてもご紹介します。
ICTに関する代表的な資格とは?
ICTに関する代表的な資格に「情報処理技術者試験」という国家試験があります。「情報処理技術者試験」とは、経済産業省が「情報処理の促進に関する法律」に基づき、情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。試験の詳細は次の通り、大きく分けて「IT活用タイプ」と「情報処理技術タイプ」に分かれています。
IT活用タイプ | |
共通的知識 | ITパスポート試験 |
基本的知識 | 情報セキュリティマネジメント試験 |
情報処理技術タイプ | |
基本的知識・技能 | 基本情報技術者試験 |
応用的知識・技能 | 応用情報技術者試験 |
高度な知識・技能 |
ITストラテジスト試験 システムアーキテクト試験 プロジェクトマネージャ試験 ネットワークスペシャリスト試験 データベーススペシャリスト試験 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 ITサービスマネージャ試験 システム監査技術者試験 |
出典:IPA(情報処理推進機構)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html
難しそうな名前の試験がずらっと並んでいますよね。
この表を見ただけでは、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに、ICTとITはほぼ同じ意味の言葉です。
ITに「Communication(通信、伝達)」を含めた用語がICT。ITは、ハードウェアやソフトウェア、インフラなど、「コンピューター関連の技術そのもの」を指す一方、ICTは「情報を伝達すること」を重視し、医療や教育などにおける「情報通信技術の活用方法、またはその方法論」を指します。
教育現場で授業に情報通信技術を活用する場合は「ICT」、情報技術そのものを指す際は「IT」のように、使い分けられています。
なお、国際的には「ICT」の方が定着してきています。
目指す職種によって、目指す資格も異なります。「エンジニア(技術者)になりたい」「マネージャー(管理者)になりたい」「幅広くITスキルを身に着けたい」という方向けに、それぞれの職種に適した試験とその概要をご紹介していきます。
まずは、エンジニア(技術者)を目指す方向けのICT資格です。
エンジニアを目指す方向けのICT資格は?
基本情報技術者
【こんな方におすすめ】
エンジニアとしてキャリアをスタートしたい、または信頼性・生産性の高いシステムを構築・運用に従事したい方
【得られるスキル】
システムの設計・開発を行い、単体テストまでの一連のプロセスを担当するために必要な知識や技術が身につく
【試験概要】
・現在はCBT(コンピューター)方式で、上期・下期の年2回の実施、合格率は25.75%
・技術動向などを踏まえて試験内容は適宜変更されていくので、最新の受験情報をチェックする必要があります。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html
応用情報技術者
【こんな方におすすめ】
ITエンジニアとしてレベルアップを図りたい方
【得られるスキル】
技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力が身につく。システム開発、IT基盤構築などの局面で高いパフォーマンスを発揮できることも
【試験概要】
・春期と秋期の年2回実施、合格率は22.3%
・基本情報技術者同様、技術動向などを踏まえて試験範囲などが変更になることがあるので、最新情報をチェックすることが必要
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html
情報セキュリティスペシャリスト
【こんな方におすすめ】
情報システムや組織に対する脅威や脆弱性を評価し、対策を実装できるセキュリティエンジニアや情報システム管理者を目指す方
【得られるスキル】
他の専門家と協力しながら情報セキュリティ技術を適用して、安全な情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守に必要な知識・実践能力が身につく
【試験概要】
春期と秋期の年2回実施、合格率は14.9%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sc_28.html
ネットワークスペシャリスト
【こんな方におすすめ】
技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に合った大規模で堅牢なネットワークシステムを構築し、運用できるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す方
【得られるスキル】
目的に合ったネットワークシステムを構築・維持するための、技術・サービスの選択、システムの要求仕様を作成するのに必要な知識や技術が身につく
【試験概要】
春期のみ実施、合格率は14.4%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/nw.html
データベーススペシャリスト
【こんな方におすすめ】
企業の膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客ビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方
【得られるスキル】
高品質なデータベースを企画、要件定義、開発、運用、保守するための知識・実践能力の基礎が身につく
【試験概要】
秋期のみ実施、合格率15.8%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/db.html
エンベデッドシステムスペシャリスト
【こんな方におすすめ】
スマート家電、自動運転などのIoT分野において、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて組込みシステムを構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現する組込みエンジニアやIoT系エンジニアを目指す方
【得られるスキル】
IoTを含む組込みシステムで要求される機能、性能、品質、信頼性、セキュリティなどをハードウェア・ソフトウェアへの要求に適切に分解して最適な組込みシステムとして実現できるようになる
【試験概要】
秋期のみ実施、合格率16.4%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/es.html
システムアーキテクト
【こんな方におすすめ】
システム開発の上流工程において豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニアを目指す方
【得られるスキル】
情報システム、組込みシステム・IoTを利用したシステムの利用に関する知識や技能が得られる
【試験概要】
春期のみ実施、合格率15.3%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sa.html
以上、エンジニア(技術者)を目指す向けの資格のご紹介でした。
次に、マネージャー(管理者)を目指す方向けの資格のご紹介です。
マネージャーを目指す方向けのICT資格は?
ITストラテジスト
【こんな方におすすめ】
経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進して、ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方
【得られるスキル】
事業企画、業務改革推進、情報化企画、製品・サービス企画などの部門において、ITを活用した基本戦略の策定・提案・推進を遂行するための知識・実践能力が身につく
【試験概要】
春期のみ実施、合格率は15.4%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/st.html
システム監査技術者
【こんな方におすすめ】
情報システムにまつわるリスクを分析しコントロールを点検・評価・検証することで、組織の目標達成に貢献し利害関係者に対する説明責任を果たす、監査人や情報システム責任者などを目指す方
【得られるスキル】
情報システムや組込みシステムが適切かつ健全に活用され、情報システムにまつわるリスクに適切に対処できるように改善を促進するための知識・実践能力が要求される
【試験概要】
秋期のみ実施、合格率は15.3%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/au.html
ITサービスマネージャー
【こんな方におすすめ】
顧客ニーズを踏まえ、日々の継続的改善を通じて安全性と信頼性の高いITサービスを提供し、IT投資効果を最大化できるITサービスマネージャーを目指す方
【得られるスキル】
ITサービスの戦略策定から運用、改善提案までのサービスマネジメント全体への理解や、運用チームスタッフとの連携体制を構築するための基礎力が身につく
【試験概要】
春期のみ実施。合格率は14.7%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sm.html
プロジェクトマネージャー
【こんな方におすすめ】
高度な専門分や持っていて、プロジェクト全体の意思決定をしながら品質・コスト・納期に全責任をもち前提・制約の中で成功に導き、プロジェクトメンバーの成長を促すようなマネージャーを目指す方
【得られるスキル】
組織運営やシステム全般の基本的知識、管理能力、リスク管理や分析、評価を実行できる能力がある証明になる
【試験概要】
秋期のみ実施、合格率は15.1%
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html
以上、マネージャー(管理者)を目指す方向けの資格のご紹介でした。
ここまで、主に「IT系企業で仕事がしたい」もしくは「すでにIT系の仕事に就いていて、スキルアップしたい」方を対象とした資格のお話をしてきました。
汎用性の高いIT(ICT)スキルが身につく資格は?
ここからは、これから幅広いITスキルを身につけたいと考えている方向けの資格をご紹介していきます。
ITパスポート
「ITパスポート試験」は、情報技術者試験の中では、入門レベルに相当します。
【こんな方におすすめ】
職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする方
【得られるスキル】
この試験に合格することで、新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識をはじめ、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的な基礎知識を身につけることができます
【試験概要】
全国の会場で随時実施、合格率は54.3%、試験方式はCBT形式
試験分野はテクノロジ系(IT技術)、マネジメント系(IT管理)、ストラテジ系(経営全般)の3つの分野に分かれています。
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/about.html
番外編:マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
この資格は、ExcelやWordなどのMicrosoft Office(マイクロソフト オフィス、以下Office)の利用スキルを証明できる資格です。Officeを活用できれば業務を効率化できるので、実用的なスキルを身につけることができます。ビジネスで活用できるパソコンスキルを証明することができるので、就職時や転職時のアピールポイントにもなります。また、世界的に行われている国際試験ですので「世界で通用するスキル」を認定してくれます。
【こんな方におすすめ】
これからオフィスワークをはじめたい、転職したい、自分のOfficeの利用スキル、パソコン利用スキルを客観的に証明したい方
【得られるスキル】
Officeを活用し、業務効率化や業務品質を上げることができる
【試験概要】
Word(文書作成ソフト)
Excel(表計算ソフト)
PowerPoint(プレゼンテーションソフト)
Access(データベース管理ソフト)
Outlook(電子メール・情報管理ソフト)
上記の中から、希望のソフト(試験科目)を選択
【受験方法】
「全国一斉試験」と「随時試験」の2つの受験方法より選択
【試験方式】
コンピュータを使った実技試験(CBT)
※なお、WordとExcelには、一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2レベルが用意されています。
https://mos.odyssey-com.co.jp/index.html
IT職は、資格の有無よりも経験が重視される
では、IT職においてIT系の資格を保有していることは、就職時にどのくらい有利に働くのでしょうか?
全体の7割のIT関連企業が、IT人材のスキルレベルを図る基準として資格保有を重要視していることが、政府の調査で分かっています。
IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省)P20
https://www.meti.go.jp/press/2017/08/20170821001/20170821001-1.pdf?_ga=2.268490100.409687950.1584085867-1342874772.1584085867
ただし転職(中途採用)の場面においては、企業側は「資格の有無よりも、能力や実務経験を重要視している」といった声もあります。つまり、実務経験があれば資格の有無は問わない、逆に言えば資格を持っていたとしてもその分野での実務経験が無いと転職に有利に働くとは限らないというわけです。
未経験からICT関連の仕事に就きたいなら、ICT支援員の資格がねらい目
「ICT支援員」の仕事は、ニーズが急上昇している
では、「経験はないけどIT関係の仕事につきたい」方の場合、どうすればいいのでしょうか?実は現在求人が増えていて、かつ未経験者にも門戸が開かれている職種があります。それは「ICT支援員」です。
ICT支援員とは、小中高等学校に出向き、パソコンやプロジェクターなどのICT機器操作を指導する仕事です。指導の相手は、生徒ではなく主に先生。今、この仕事のニーズが伸びているのです。
ICT支援員のニーズが伸びている背景には、「学校教育のICT化」があります。次世代を担う児童・生徒が情報活用能力を身につけられるように、2020年度からは小学校で、2021年度からは中学校でプログラミング教育が必修化されました。しかし教育現場では、ICT機器を活用できる人材が全体的に不足しているのが現状。
そこで文部科学省が、教育現場に「ICT支援員」というICT機器の活用をサポートする人材を配置するよう呼びかけました。2022年度内にICT支援員を4校に1人配置することを目標にしているため、ICT支援員の需要が高まっているといわれています。
IT関連×ホワイトな働き方ができる
仕事内容としては、教育現場の先生に、PC・タブレット・教材ソフト・プロジェクターなどの活用方法を指導することが中心です。その他、Word、Excel、PowerPointといったマイクロソフト オフィス製品についても指導します。契約内容にもよりますが、勤務時間は基本的に学校が開いている時間ですので、深夜残業ということは滅多にありません。そのため、一般企業に比べ、プライベートと両立しやすいのも特徴です!
ICT支援員について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください
ICT支援員とは?仕事内容や将来性、仕事に就く方法までまとめて解説
ICT支援員認定試験は比較的合格しやすい
さらに、ICT支援員認定試験は、さきほどご紹介したIT系の資格と比べて試験難易度が比較的低めです。
試験では、「プリンタがつながらないと問い合わせを受けた場合、確認すべきことはなにか?」といった、学校現場で実際に起こり得る場面を想定した問題が出題されます。
【こんな方におすすめ】
ICT支援員になりたい方
【得られるスキル】
ICT支援員としての実践的知識と、問題分析・説明力が身につく
【試験概要】
A領域:実践的知識を問う試験(36問90分)
〔試験方式:試験実施日時に受験会場でのコンピューター(CBT)方式〕
B領域:問題分析・説明力を問う試験
〔試験方式:試験実施日から5日後に課題を提示、課題に対する動画を課題提示日含めて5日以内に提出〕
A領域の合格基準は65点がですが、B領域の合格基準は非公開です。
試験結果も非公開となっていますが、合格率は60~70%くらいと言われています。
ICT支援員認定試験の試験対策について詳しく知りたい方はこちら
ICT支援員の資格に合格したい方へ。試験の特徴と勉強法を徹底解説!(出題例つき)
ICT支援員として教育現場で働きたい方へ
サクシードでは、国が推し進める「子どもたちの学びを保障する」ための環境づくりを支援するため、全国の小中学校・高校に、教員、ICT支援員等を紹介するサービスを行っています。
資格なしでも、ICT支援員として活躍できる場合も
実は私立学校を中心に、資格をとらなくてもICT支援員として活躍できる場合があります。教育機関によっては、オフィス勤務経験や学校現場への理解がある人であれば、ICT支援員として採用することがあるのです。それほどICT方面に明るい人材が枯渇しているともいえるでしょう。
ICT支援員の求人例
【募集職種】
PC・タブレットを使った授業のサポート(未経験OK)
【仕事内容】
授業の際に使うタブレット端末やパソコンが問題なく作動するかの確認や、生徒が使用する際のサポート、ネットワーク接続トラブル等があった際に対応、タブレット端末を活かした授業内容のアドバイス、など
【応募条件】
教員・生徒とのコミュニケーションが円滑に図れること
他にどのような求人があるのか気になる方は、教育業界の就職・転職・バイト求人情報【教えるシゴト(教える仕事)】をご覧ください。
ICT支援員の求人特集|教育業界の就職・転職・バイト求人情報【教えるシゴト】
ICT支援員になりたい方を応援します
現在サクシードでは、ICT支援員として働きたい方を募集しています。
ICT支援員認定試験合格者はもちろん、そうでない方も、ご登録・ご活躍いただけます。
実際に、次のような方たちが登録されています。
・Google 認定教育者
・教育情報化コーディネータ(ITCE)
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・企業や自治体等でのICT支援に関連する実務経験がある
副業/本業、フルタイム/パートタイムは問いません。「自分が当てはまるかも」と思った方はお気軽にご登録ください。(登録すると、非公開求人の紹介を受けられます)
いかがでしたでしょうか。目指す職種や状況によって、選ぶICT関連の資格は様々ありました。中でも「ICT支援員認定試験」は仕事に直結すること、「ICT支援員」という職種のニーズが今、高まっていることが分かりました。趣味で取得するのであればシンプルに好きなものを選べば良いですが、仕事に直結させたいのであれば、慎重に吟味する必要があると言えそうです。
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