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「申し訳ない」の気持ちを知り、寄り添う介護を。「介護拒否」と向き合う

最終更新日:2021.02.24

高齢者の介護にあたっている施設職員は、日々、入居者様の健康と快適な暮らしのために力を尽くしています。
介護を受ける側にその思いが伝わり、喜んだり感謝してもらえたときの充実感は大きいもの。
けれど逆に、介護サービスやケアを拒否されるケースもときに見受けられます。
「介護拒否」はどうして起こるのでしょうか。
その理由と高齢者の思い、そして介護をする側はどう対処していけばいいのかを考えてみました。

「人の世話になりたくない」「申し訳ない」

まだまだ現役だと自負している高齢者の方は、介護を受けることでプライドが傷つくことがあります。
「自分のことは自分でできる」「人の力を借りて生活するほど衰えていない」
そう考え、多少の不自由や不快なことは我慢してしまうのです。
また、高齢者世代の中には、自分のために人に手間をかけさせることが申し訳なく、遠慮の気持ちから介護を望まない人が依然多いようです。
周囲が介護サービスをすすめても、「自分たちだけでなんとかしたい」と頑張る老老介護が増加していますが、まさに典型といえるでしょう。

セルフネグレクトの危険性

一方、一人暮らしや、他人との関わりのない高齢者に多くみられるのがセルフネグレクト(自己放任)です。
これは、孤独、虚しさ、失望などによって、生活のすべてに無気力・無頓着になる状態。
生きる意欲が低下し、要介護であっても人の力を借りようとしません。発見が遅れると命にかかわることもある、危険な状況といえます。

相手の気持ちに寄り添うことが大切

このように、認知症などではなく、心理的な問題で介護を拒否するケースでは、何よりも大切なのは介護職員と利用者が、普段から信頼関係を築いておくことです。
介護をする側・される側という関係ではなく、年長の知人として敬意を持って関わり、利用者の人となり、好きなもの、得意なことなどを把握し、会話が弾むようになればしめたもの。
そのうえで、相手の気がすすまないときには決して無理強いをせず、納得するまで説明をする、時間をおいて声をかけるなど、常に利用者側の気持ちを優先して介護にあたるようにします。
ただし、万が一利用者にセルフネグレクトの兆候が見られたときは要注意。
ただの介護拒否とは違い、専門機関や医療機関の協力が必要な場合もあります。深刻な事態におちいる前に、上司に相談し、早めに手を打ちましょう。

認知症が招く介護拒否

認知症の方にみられる介護拒否は、入浴をいやがる、食事をいやがる、着替えをいやがる、薬を飲むのをいやがる、さらに世話をされること全般をいやがる、など多岐にわたります。
その理由のもっとも大きなものは、やはり忘れてしまっていること。
薬が病気を治すこと、お風呂が気持ち良いこと、食事が美味しいことなど、忘れているだけでなく、本人にとって不安で、不快な行為になっている場合も。
どの場合も、無理強いをすると拒否が強くなり、暴力が見られることもあり逆効果です。

それではケース別に、対応の仕方をみていきましょう。

入浴拒否

理由

「裸になるのが不安」
「着替えや洗髪・洗体がおっくう」
「入浴が理解できず、恐怖を感じる」

対処法

誘い方を工夫してみましょう。
「温泉に入りましょう」「○○の前に綺麗になっておきましょう」「汗を流してさっぱりしましょう」「温まりますよ」などと、お風呂という言葉を言わないで誘うと抵抗なく入ることがあります。
銭湯によく行っていた人なら、風呂桶とせっけんとタオルをセットにして渡すと、すんなり入ってくれたり、仲の良い入居者さんと一緒に入りましょう、と誘うのもいい方法です。

着替えの拒否

理由

「服を脱ぐのが不安」
「面倒くさい」
「服を盗まれるのが心配」

対処法

無理に脱がせようとすると、暴力につながることも。
いやがるときは、着がえを置いておき、見守ります。自分で着替えができない場合は、「背中が赤くなっているから見せて」というように誘うと抵抗がなくなることも。
脱いだ服を隠すようなときも、その場では何も言わず、本人が不在のときに隠せそうな場所を探しましょう。

食事の拒否

理由

「体調がよくない」
「飲み込めない」
「口の中のトラブル」
「何らかの抗議の表現」
「毒が入っているなどの妄想」

対処法

食欲がないときは必ず、口内や体調に異変がないか確認します。
とくに異常がなくても、高齢者は活動量が低下していますから、一日三回の食事時間にはまだ空腹になっていないことも。
時間をおく、少しずつ何度も提供してみる、などを試してみてください。
おかずは食べやすい硬さ・大きさ・形にし、「これなら食べられそう」と思わせるように。手づかみで食べられるものもおすすめです。
また、お皿の配置を変えたり、一皿ずつ出してみると、気が散らずに食べてくれることもあります。

服薬の拒否

理由

「自分はどこも悪くない」
「苦い、飲み込めない」
「無理やり飲まされる、毒ではないか」

対処法

「胃の消化をよくしてくれますよ」「骨を強くするビタミンです」など、納得しやすい説明をしてみましょう。
周りの人がビタミン剤などを飲んでみせると、一緒に飲んでくれることもあります。
飲みにくい場合は、ゼリーに包んだり、水分に溶けるもの、貼り薬などを処方してもらえるよう医師に相談するのも手です。
食事に混ぜるのは、味を損ない、食事拒否につながる場合もありますので、あまりおすすめできません。

世話をされることへの拒否

対処法

どんな場合にも言えることですが、拒否されたからと焦って無理やりケアをすることだけは避けましょう。
責めたり怒ったり、冷たい態度を見せるなども、その行為自体の印象をネガティブなものにしてしまうので、後が大変になります。
暴言や暴力が見られたときは、つられてヒートアップしてはいけません。
しばらく離れて様子を見て落ち着いたら、まったく別の、本人が興味のありそうなことを話題にし、気分がほぐれたところで軽くすすめてみましょう。それでもダメなら今回はやめる、という決断も必要です。

健康な方であれ認知症の方であれ、介護拒否をするのには必ず理由があります。
どうして嫌なのか、ではどうすれば受け入れてもらえるのか、忙しい日々の業務の中で考えるのは大変ですが、それを乗り越えて利用者様を理解できたときこそ、介護という仕事の醍醐味が味わえるのではないでしょうか。
「拒否」の裏に隠された、利用者様の本当の気持ちを、できる限り大切にしていきたいですね。

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