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放課後等デイサービス・児童発達支援(障害児施設)での言語聴覚士(ST)のお仕事・役割|求人はある?

最終更新日:2022.01.25

リハビリテーションの専門職である『言語聴覚士』は、1997年に国家資格として制度が始まった比較的新しい職業です。
『話す』『聞く』『食べる』などに障害や悩み・課題を持つ人に対して、サポートや指導を行う職業です。
言語聴覚士は病院などで働くのが一般的ですが、障害児支援の現場でも働いており、その重要性も注目されています。
この記事では言語聴覚士のお仕事や、障害児支援施設での役割などについてご紹介します。

言語聴覚士とは

言語聴覚士は、理学療法士・作業療法士等と同じようにリハビリテーションの専門職です。
理学療法士や作業療法士は、身体的なリハビリを専門としていますが、言語聴覚士はその名の通り『言語』『発声』『発音』『聴覚』加えて『認知』『表現』や『食べる』『飲み込む』などの機能の改善を目指します。
生まれつきの障害や、病気・事故などで不自由になってしまった人を対象に、原因を調査し、どのような訓練や指導を行うかを考え、その人が『豊かに生活できるよう』様々な支援をします。
英語では”Speech-Language-Hearing Therapist”略称として『ST』と呼ばれることもあります。1997年に国家資格としての制度が始まったので比較的新しい職業のため、他のリハビリ職に比べると人数はまだ少ないです。

障害児支援施設で言語聴覚士が求められる

2012年の児童福祉法改正によって、障害児(通所・入所)支援施設の数が増えています。障害児(通所・入所)施設は、障害や発達に特徴がある子どもに対して、今後の生活を安定させるように支援(療育)する施設で、『児童発達支援センター』『児童発達支援事業所』『放課後等デイサービス』などが挙げられます。

機能訓練担当職員として配置

放課後等デイサービスや、児童発達支援などの障害児支援事業所のスタッフに、言語聴覚士は必須というわけではありません。
ですが、施設で『日常生活を営むのに必要な訓練』や、『重症心身障害児を施設で受け入れる場合』には『機能訓練担当職員』として言語聴覚士や作業療法士などの配置が求められます。
特に言語聴覚士は『全てのコミュニケーション支援の中核』であり、摂食指導においても『重要な役割』を担っているため重宝されています。

障害児支援施設での言語聴覚士とは

障害児支援施設には、『言語障害』だけでなく、『知的障害』『発達障害』や、『肢体不自由児』など様々な障害や課題のある子どもがいます。
あらゆる角度から障害の原因を探し出し、遊びを通じて楽しみながら支援(療育)をします。子どもが意欲を持って訓練に取り掛かることができるようにすることがとても大切で、心理面でのサポートも行います。

主な役割・仕事内容

障害児支援施設での言語聴覚士の役割は、言語聴覚領域で、障害のある子どもたちの支援(療育)をすることです。
『ことば』『きこえ』『食べる』などの課題や、つまずきのある子どもに対して指導や訓練をします。また、『コミュニケーション』『認知』の発達のサポートも行います。
ただ単に、障害の克服・機能回復を目指すのではなく、子どもたちがこれからの日常生活を安定して、その子らしく生活できるように支援することも目指します。
子ども一人ひとりに寄り添ってその子の特性を生かしていくこと、その子に合った丁寧な関わり方や向き合い方が求められます。
また、言語領域以外で『発達領域』全般を支援することもあります。

言語聴覚士が主に支援する障害

【ことばの障害(言語障害)】

認知や感情、言語をつかさどる脳機能の障害で、言葉を『理解する』『話す』『読む』『書く』などの言語能力が失われ、低下する『失語症』、知的・精神障害などによって言葉やコミュニケーションの習得が同年齢の子どもに比べて遅れている『言語発達遅滞』や、『構音障害』、『吃音』などが挙げられます。

【きこえの障害(聴覚障害)】

怪我や病気で聞こえが悪くなっていること、高い音や低い音が聞こえないなどが挙げられます。

【食べる機能の障害(摂食・嚥下障害)】

食べ物の咀嚼や飲み込みができなかったり、苦手だったりすることが挙げられます。
※上記は子どもに限らず成人も同様です

言語聴覚療法のながれ

検査・評価

発達具合や課題の状態を確認するために、保護者から苦手なことや、困り事などを聞いたり、検査や行動の観察をしたりすることで情報を集めます。情報の評価をし、その子どもにあった支援方針やプログラムを考えます。

訓練・指導

機能獲得や改善を目指して、子どもに合った様々な支援を行います。
本人への訓練・指導の他に、家族や職場へのアドバイス、環境構築(デバイスの導入)などの提案も行うことがあります。訓練方法は個別訓練や集団での訓練など様々です。

効果の測定

訓練でどのような効果があったのか、検査・観察などを行い客観的に判断します。結果を分析しつつ、訓練や指導の方向性を都度修正し、最適な支援を行います。

具体的な指導や支援

話すことが苦手な子

言語発達遅滞や、吃音などの言語障害を抱えた子や、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもに対して、『言語理解』や『コミュニケーションの発達』を促す個別リハビリ、集団リハビリ等の支援を行います。
他にも、舌を適切に動かす練習や、発音する口の形の練習など様々な方法での『発声訓練』や、『文章を読んだり、書き取ったりする訓練』など、『言葉以外のコミュニケーション手段』の獲得を目指すこともあります。

聞くことが苦手な子

聴覚障害のある子どもに対して、『聞き取り』や『発音』のリハビリテーションを行います。
医師の指示の下、医学的なリハビリテーションを実施し聴覚活用や言語発達を促す支援を行うことや、『手話やサインなどのコミュニケーション手段の獲得』や、『補聴器の調整や扱い方』を教えることもあります。

食べることが苦手

口唇口蓋裂、ダウン症児など、嚥下や咀嚼に器質的・機能的な障害を抱える子どもに対して『適切な食べ方や飲み方』が身につけられるように、『嚥下訓練』することや、『食事姿勢や食具の選定』、『手術的治療の検討』など、様々な角度から『安全に食べる機能』の回復を目指します。

精神的なサポート

子どもたちはその障害などのせいで『できない』ことも多く、できない度に自尊心が傷つくこともあります。
そんな子どもたちに『頑張ればできる課題』を提供し、『できた』『やればできる』という喜びから、自己肯定感の成長を目指します。

生活における提案

機能訓練だけでなく、個々の課題に対しての『サポート機器導入』の提案をすることもあります。例えば、声が出にくい場合は『50音表』や『パソコン・タブレット』を使って意思疎通ができるようにするなど、機能回復と同時に、今すぐに役立つような代替手段も提案します。

家族などへの指導・ケア

家族や、その周囲の人が子どもと『どのようにコミュニケーションをとればよいか』等の『適切な関わり方』の指導やサポートをします。
また、障害や発達に課題のある子どもを持つ家族は、不安やストレスを感じていることが多いです。障害の専門職からアドバイスや指導を受けることで、家族は『安心』しますし、『ストレスや心のケア』にも繋がります。

関係機関との連携

保育園や幼稚園、小学校・自治体などと連携を取ることもあります。小児分野では、言語聴覚領域だけでなく、発達全般を見ることも多く、高次機能障害や認知面は作業療法士(OT)と重なる部分も多いです。幅広く対応し多職種との密接な情報共有しながらお仕事を進めていきます。

言語聴覚士になるには

国家試験に合格する

言語聴覚士になるには国家資格が必要です。
『高校を卒業後、言語聴覚士の養成課程のある大学や専門学校(3~4年制)で学ぶ』、または『4年制大学を卒業後、大学や大学院の言語聴覚士専攻科や専門学校(2年制)で学ぶ』ことで、言語聴覚士国家試験の受験資格を得るのが一般的です。

他に、言語聴覚士の養成に関わる一定基準の科目をすでに習得していれば、指定校(1年制)に通うことで受験資格を得ることができます。また、外国で言語聴覚士に関する学業を修めた場合は、厚生労働大臣の認定が得られれば受験資格が取得できます。 『高校を卒業後、言語聴覚士の養成課程のある大学や専門学校(3~4年制)で学ぶ』が、最短で取得できるルート です。


言語聴覚士国家試験の合格率は60%~80%台と他のリハビリ職と比べても難易度が高いです。合格すると有資格者となり、言語聴覚士名簿に登録することで、言語聴覚士として働くことができます。

言語聴覚士に向いている人

言語聴覚士の治療や機能訓練は長期間に渡ります。
そのため、根気強く訓練や指導を行える人や、前向きに物事を捉え、利用者を明るく元気づけられるような人が言語聴覚に向いていると言えます。
また、言語聴覚士は医師や看護師、理学療法士、地域との関係機関と連携するなど、様々な人と関わりながら仕事を進めなければなりません。
チームプレイの意識や協調性のある人、コミュニケーションが上手な人にも向いていると言えます。

小児分野での言語聴覚士の現状

障害児支援施設で言語聴覚士として働くということは『小児分野』で働くことになります。
言語聴覚士が国家資格となったのは1997年とまだ年数は浅く、言語聴覚士の数もまだまだ少ないのが現状で、その中でも特に、小児分野で働く言語聴覚士の割合は少ないです。
支援を必要とする障害や発達に課題がある子どもの数は年々増えており、子どもの数に対して言語聴覚士の数が足りていないと言われています。
障害児施設で言語聴覚士が求められており、少しずつ小児分野での就職先が増えることが予想されています。将来性も高く、ますます言語聴覚士の活躍が期待されています。

言語聴覚士の大変さ・やりがい

障害児施設で働く際、先輩となる言語聴覚士がいないことも考えられます。そのため、言語聴覚の領域で人に頼ることはなかなかできないかもしれませんし、言語聴覚士のプロとして日々勉強しながらお仕事をし続けなければなりません。また、支援はなかなか計画通りに進まないこともあるので、忍耐力が必要となり、大変と感じるかもしれません。
ですが、言語聴覚士は人のためになる仕事で、とくに小児分野は子どもの未来に向けた『大切な時期・段階』を支える仕事です。
訓練や指導によって、少しずつ機能が改善すると生活が変化していき、子どもの将来がより豊かになることを実感できますし、また、保護者と一緒に子どもの成長を感じ喜びあうことで仕事のやりがいを感じられるでしょう

言語聴覚士のキャリアアップ

言語聴覚士としてキャリアアップしたい場合はどうすればよいのでしょうか。

専門性を高める・資格を取得する

言語聴覚士としての専門性を高めることはキャリアアップにつながります。
勉強会や学会、研修などに参加し、知識や技術を身に着けたり、専門性を高める資格を取得したりしましょう。

【資格】

障害児支援施設で働くためには

求人サイトや障害児支援施設のHPなどから応募する

言語聴覚療法を提供している障害児支援施設の数は増加傾向にありますが、まだまだ少なく、求人も少ないのが現状です。
障害児支援施設で働きたい場合は、求人サイトや障害児支援施設のHPなどから募集を見つけて応募するのが一般的ですが、募集が出てもすぐに受付終了するなど、競争率が高い傾向にあり、なかなか応募ができないこともあります。

職業紹介会社を利用する

そこで、おすすめしたいのが『職業紹介会社』を利用することです。
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ここまで言語聴覚士について、障害児支援施設での言語聴覚士の役割・仕事内容についてご紹介しました。
『人とコミュニケーションを取ること』『つながりを持つこと』『ご飯を食べること』等は、人間の根源的に大切なことであり、喜びを感じる部分でもあります。
その喜びを支えるのが言語聴覚士の役割です。
需要も高く、これから活躍の場はどんどん増えていくことが期待されます。

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